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浄土真宗東本願寺派 寶蓮寺

古瓦に籠められた先人の思いを 後世に伝える

古瓦に籠められた先人の思いを 後世に伝える

ご住職 佐藤 良純 様

<浄土真宗東本願寺派> 霊法山 寶蓮寺 本堂改修工事
大分県臼杵市 令和三年竣工
正面7間・側面6.5間
木造入母屋造 瓦葺屋根 流れ向拝付

 拙寺の霊法山寶蓮寺は開山年が不明でありますが、過去帳などから慶長年間の開山と推測され、開山より約四百年、私で十七世になります。
 十年前ぐらいから本堂屋根より漏水しており、その都度応急的な補修工事で凌いでいましたが、年々増加し続ける梅雨時期の降水量に対して早急に抜本的な大改修工事が必要であると考えるに至りました。
 先ずはご門徒の皆様にご寄進を呼びかけ五年後を目途に改修工事を行うことを立案、その五年間は大屋根全体をシートで覆い防水することを計画しました。
 そのころ拙寺と同市内にあります龍原寺様の伽藍を工事中であった飛鳥社寺を、ご住職に紹介いただいたことでご縁が結ばれました。
 本堂現況調査によると、積年の漏水被害により屋根構造に不具合が生じており、また昨今の気象状況から鑑みて五年間に及ぶ大屋根全体のシート防水は現実的ではないという報告を受け、改修計画の変更を余儀なくされます。
 何度となく責任役員や総代と協議を重ね、この改修工事の柱となっている大屋根の造替えや耐力壁の新設などは変更せずに工事範囲や内容を見直して、最終的には飛鳥社寺の尽力により、本堂改修計画の立案から一年で工事請負契約締結、工事着工となりました。

 契約当初、瓦は鬼瓦を除き新調することになっていましたが、屋根工事直前に「既存瓦の多くは耐久性に問題がありません。文化財工事のようにこの既存瓦を再利用しませんか」と提案がありました。
 文化財の瓦工事を数多く手掛け、飛鳥社寺の協力会社である瓦師が調査したところ「耐久性は言うまでもなく、この本堂のため丁寧に作られた価値のある瓦。再利用できる瓦を使わないのは惜しい」との見解。
 お寺として既存瓦の再利用について異論がないどころか、この古瓦に本堂建立当時における先人の思いや願いが籠められていることが分かったこと、そしてこの貴重な瓦を後世に残すことができるということが、何より嬉しかった。
 受注者として負担が増えるはずの提案を、私の思いを汲み取り土壇場でこのような工事変更していただいた飛鳥社寺には、深く感謝しております。
 工事中は順調に工事が進んでいますね、竣工後にはお堂が綺麗になりましたねと、門信徒の皆様や近隣の皆様には多くのお声掛けをいただきました。こうしてお堂が立派になったからといって、お寺の敷居が高くなっては意味がありません。
 これからも地域の皆様へ開かれた敷居の低いお寺でありたいと思います。