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真言宗大覚寺派 龍泉寺

洗心の道場として 法灯を守り継いでいく

洗心の道場として 法灯を守り継いでいく

ご住職 秀 知乘 様

<真言宗大覚寺派> 平瀬山 龍泉寺 本堂改修工事
佐賀県西松浦郡有田町 平成三〇年竣工
正面7間・側面7間
木造入母屋造 瓦葺屋根 流れ向拝付

 聖観世音菩薩を御本尊と仰ぐ拙寺は、室町末期天文元年(一五三二年)開創以来、星霜凡そ五百年近く、仏祖釈尊、宗祖弘法大師空海上人の法灯を守り継いできた真言寺院であります。
 歴代住職と伴に仏法隆興に尽力された檀信徒各家の御先祖様に頭の下がる思いでありますが、特に明治の頃に再建された今の本堂は、言の葉では言い尽くせぬ感銘を覚えます。この本堂も永年風雪に耐え、老朽化の波押し寄せるところとなり、堂内に生じた漏水を起因として大改修の発願に至りました。
 はじめに、建設委員会にて選定した各社に求めたのは提案型の入札です。我々の最大の仕事は、より信頼できて、共に事業を成し遂げていただける会社を選ぶこと。境内地全体の雰囲気、格式、伝統、年間行事を鑑みて精査した上で、当寺に相応しい本堂となるべく如何に改修するか、提案をしていただきました。
 なかでも飛鳥社寺は、社寺仏閣専門の見地は勿論、拙寺のことを考えて百年、二百年先を見据えた提案内容が素晴らしく、一つの案件に対する情報量の多さと懇切丁寧さは、安心と信頼が芽生えるのに十分なものでありました。これから事業を行う私達にとって、順序良く効率的に進めるための資料等も提供いただき、大いに役立たせていただきました。

 工事は昂ぶりを覚えるほどの大きな材料を用いた屋根造替えに始まり、耐震壁を新設したことで、本堂の堅牢性が高まったことを十分に実感するものでした。宮大工の手で手際よく建て込まれていく様を毎日飽くることなく眺めていたように覚えております。彫刻のある虹梁なども薬品洗浄により百二十年前の姿が浮かび上がりました。十六羅漢や龍彫の欄間も修復され、このような立派な彫刻物があったのかと、昔の人の偉業に改めて気づいたことも多くありました。
 工事を終えてから参拝された方々は皆一様に、本堂を新築したものと見紛う程で「ここまで生まれ変わるのか」という驚きとともに、湧き上がる喜びがあるようです。本堂が以前よりも広く、大きくなったように感じる方もおられます。先人が守り続けてきた古き良きものや既存本堂が備えている趣は残し、改修工事には今できる創意工夫を随所に組み込みました。この事業が素晴らしい勝業になり感謝の極みであります。
 これからもより多くの皆様から親しまれ、愛されますよう、地域や檀信徒と共にありたいと思います。自分の家に帰ってきたような気持ちになるように、日々作務をおこない、洗心の道場として益々興隆、精進し、末永く法灯を守り継いでまいります。