浄土真宗本願寺派 萬徳寺
聞き合える 信頼関係があればこそ
聞き合える 信頼関係があればこそ
ご住職 清水 信次 様
<浄土真宗本願寺派> 清水山 萬徳寺 本堂新築工事
山口県平生町 平成二三年竣工
正面6間・側面6間
木造入母屋造 瓦葺屋根 流れ向拝付
飛鳥社寺とのご縁は納骨堂の新築工事をお願いしたことに始まります。その仕事ぶりや出来具合の良さに心を打たれ、本堂と山門の新築工事を続いてお願いしました。
拙寺は町を見守るような格好で高台にあります。本堂は三百数十年を永らえ、風景と一体化していました。そのため建て替えるにあたって、風景を壊すような奇をてらったものにはしたくありませんでした。以前の外観を損なうことなく、風景に溶け込む本堂を建ててもらうことを何より大事にしていただきました。材料に関しても私たちの望む最良のものを用いてくださいました。
本堂の建て替えを決めたものの、当初はやはり不安でした。古くなっていたとはいえ、愛着のある本堂です。幾世代の人生を含め、町を見守り続けた本堂が解体されるのを見ていると、様々な思いが去来しました。
基礎工事を終え、棟が上がり、瓦が葺かれ、新しい本堂の全体像が見えてくると、不安よりも楽しみの方が強くなってきました。日に日に進む工事は新たな息吹が吹き込まれるようで清々しく、新しいお堂への期待も膨らんでいきました。完成した本堂はこれから先の永きにわたって町を見守り続ける、素晴らしいお堂となることでしょう。
上手くいった最大の理由は、思っていることを互いに聞き合える信頼関係が、拙寺と飛鳥社寺との間に芽生えていたからではないでしょうか。聞き合える信頼関係の賜物でしょう、私たちのこだわりや想いを飛鳥社寺の方で自然と加味してくれ、節々に工夫をしてくださいました。その心配りが何より嬉しかった。おかげで、出来上がったひとつひとつに思い入れがあります。飛鳥社寺とだからこそ、協力し合って最良の本堂を建立することができたと思っています。
工事に関して印象に残っていることは、棟梁はじめ職人さん方が朝から晩まで一所懸命に働かれていたことです。真夏の炎天下の中でも、誇りをもってコツコツと仕事をされている姿に頭の下がる思いをしました。私も大いに触発され、元気をいただきました。皆さん、本当によく働いてくださいました。
納骨堂や本堂、山門など拙寺に新たな生命が宿ったのをきっかけとして、孫、親、おじいちゃんおばあちゃん、様々な世代が自然と集まれる場になればと思います。
ご飯をおいしくいただける日常でこそ、仏教を広く伝えていきたい。お寺にできることを日々実践し、門徒の方々にお寺の存在をもっと身近に感じていただきたい。これからも歴代の住職同様、日常の中に息づく仏教を目指し精進して参ります。