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曹洞宗 玉林寺

改修作業を通じて 人々の気持ちは集う

改修作業を通じて 人々の気持ちは集う

ご住職 牧 一興 様

<曹洞宗> 太陽山 玉林寺 本堂改修工事
佐賀県佐賀市 平成二二年竣工
正面10間・側面8間
木造入母屋造 瓦葺屋根 流れ向拝付き

 太陽山玉林寺は、永徳二年(一三八二年)、無着禅師によって開山されました。北朝の後小松天皇より綸旨(天皇の意を受けて出された文書)ならびに「玉林禅寺」の勅額を授けられ、紫衣の道場として高僧たちの修験場にもなった歴史をもちます。鍋島藩時代は、国家安全一門繁栄の祈祷所として栄えました。拙寺が歩んできた道に恥じぬよう、伽藍全体を整えることはかねてからの念願だったのです。
 飛鳥社寺へ最初にお願いした工事は位牌堂新築工事になります。十社ほどに声をかけ、設計と見積りを出していただきました。妥当な金額で、位牌堂という建物の趣旨をきちんと汲み取って設計してくださったのが、飛鳥社寺でした。飛鳥社寺の位牌堂工事の仕事ぶりを間近で見ていたのですが、妥協がありませんでした。仕事の大小に関係なく、一所懸命に取り組まれている印象を持ちました。その真摯な仕事ぶりに感心して、本堂の改修工事も飛鳥社寺へお願いしました。

 工事以前の本堂は築後三百年以上経ち、葦葺きの屋根が架かっていました。屋根の痛みは特にひどく、トタン屋根で応急処置をしていましたが、改修に取りかからねばならないのは時間の問題でした。
 檀家さんから預かった浄財で本堂を改修するのですから、中途半端なことはできません。できる限り工費を抑え、最良の技術と材料で改修してほしい。拙寺は開山から六百年以上続く歴史があるゆえ、改修するからといって本堂の規模を小さくするようでは歴史を汚すことになりかねません。見かけだけを装う改修はしたくありませんでした。
 「威厳と風格のある本堂を保ち、未来にわたって安心できる改修をしてほしい」というのが一番の希望でした。その希望に、飛鳥社寺は誠意と一流の技術をもって応えてくれました。
 改修工事を終えた本堂を見て、誰よりも驚いたのは檀家の皆さんです。誰もが感謝の言葉を口にしておられました。中には、私に手を合わせる方もいたほどです。目に見えて美しく、祈りを宿す本堂が人の気持ちを喜ばせるのかもしれません。改修後、檀家さんの拙寺に対する愛着も増したようで、お墓参りに来られる方が増えました。嬉しい限りです。
 私の代で大規模な改修工事を行うことにはそれなりの覚悟と勇気がいりました。ですが、今はやってよかったと心から思います。改修事業を通じて、檀家の皆さんの気持ちがまとまり、次の世代へ最善の形で寺を渡せることが何よりの喜びです。