日蓮宗 本経寺
新しい 仏画荘厳のかたち
新しい 仏画荘厳のかたち
ご住職 佐古 亮景 様
【日蓮宗】萬歳山 本経寺 本堂壁画工事
長崎県大村市 令和四年竣工
開基1605 年、長崎県内の日蓮宗寺院において最古である萬歳山本経寺は、境内地の大部分が大村藩主大村家墓所として国指定史跡となっています。
日蓮大聖人御生誕800 年を祈念して、本堂内陣や外陣の壁面に日蓮大聖人にまつわる太陽や蓮、龍などをモチーフとした絵画を奉納することを計画、画家・木津文哉先生(東京藝術大学教授)に仏画制作を依頼するため、以前よりお付き合いのある株式会社日動画廊に取り持っていただきました。
当初は先生に描いていただいた作品を日動画廊に額装してもらい壁に掛ければいいと簡単に考えていましたが、日動画廊の協力会社である須原額縁製作所の須原氏が「作品と額縁の重量を考えると土壁下地で漆喰仕上げの本堂壁面へ掛けることは難しい。九州で社寺建築をやっている知人がいるので相談してみてはどうでしょう」と日動画廊へ助言したことで、飛鳥社寺とご縁ができました。
今回の計画を説明すると「奉納作品の固定方法を考えると壁に荷重を掛けることは難しく、本堂横架材の虹梁に荷重負担できるよう、奉納作品に合わせた額縁を独自に設計製作する必要があります」との回答を受けて、額縁の製作や奉納作品の設置まで含めた壁画工事として飛鳥社寺へお任せしました。
最小限の要素で構成した18 台のステンレス製額縁は、本堂横架材の虹梁に固定した後に、作品と保護用アクリル板を取付ける設計となっており、作品やアクリル板は奉納後においても容易に脱着できる構造となっています。
奉納作品の照明においては、スポット照明を準備して作品を照らすように考えていましたが、LED 照明器具による色温度や照度を管理する総合的な照明計画の提案を受けて、電気工事も飛鳥社寺へお任せすることになりました。
新しい本堂内部の照明は、一般的な法要照明から作品鑑賞を目的とした美術館のような照明まで、多彩な照明演出をプログラムすることで、その演出効果を簡単に呼び出し再現することができます。
今回の壁画工事により、額縁のある大型洋画を本堂壁面に奉納した全国でも例のない仏画荘厳を持つ本堂となり、出来栄えは想像をはるかに超えるものとなりました。
本堂で執り行われる法要が多い当寺ですので、奉納作品は一般非公開としていますが、お参りをいただく檀家様にはとても好評いただいております。
これからも日蓮聖人の法灯を守り伝え、皆様の自慢のお寺でありたいと考えております。